テントポールのカーボン化
山へテントを担いで登るときはできるだけ軽量なテントを選びたくなります。MOSSのテントは重さがネックになることもしばしば。少しでも軽くできないものかと、テントポールのカーボン化を試してみました。

カーボン製テント用ポールのオーダーメイドをしているのは「Fibraplex」というアメリカの会社で、ここのカーボン・ポールを標準で採用しているテント・メーカーもあるみたいです。

アルミと違って曲がり癖も付かないでしょうから、テントを美しく張るには持って来いじゃないかとも思います。また、古いモステントの金や黒のEastonポールは、もうセットでは入手できません。DACポールの赤い色も「何だかな〜」と思っていたので、カーボンならほとんど黒だし一石二鳥になるはずです。
さらに特注みたいなものなので、希望する仕舞い寸に合わせて「継ぎ数」を指定することもできます。継ぎ数を少なくして(仕舞い寸を長くして)究極の軽量化を図る、あるいは継ぎ数を多くして(仕舞い寸を短くして)ザックの幅に合わせる、といった自由さがあります。

mossには向かない・薦めない
新品時からあらかじめポールに曲がり癖をつけてあるようなテントには適用できないと思った方が良いでしょう。230cm 長のポールを直径 150cm までは曲げることができるようですが、この計算で行くとStardomeの前室用ポールではギリギリか許容範囲を超えてしまうくらいです。設営中に風に煽られてひしゃげると、容易に折れてしまうことが想像できます。mossのテントは他社に比べてポールの曲げ半径が小さいと思います。最も軽量化したかったOutlandでは、カーボンの許容半径を軽く越えてしまっており、使うことはできません。他のモデルでも同様に曲げがきつい傾向があるため、まったくお薦めできないです。

実際にStardome IIで風速30m程度の強風を後部ドア方面から受けた際に、メインポールが2本同時にそれぞれ2箇所で折れました。風向き的には設営方向は正解でしたが、これが横風ならセンターポールと前室用ポールがもっと早い時間に折れていたと思います。Eastonポールでは、その後の風速40m以上と思われる風にも耐えています。せっかくの軽量化も、強風に遭うことが多い山では使えないようでは、まったく無用の長物です。


できあがりから


写真左は Stardome-II の純正ポール・セット(DACポール)、右がカーボン・ポールのセットです。

純正のメイン・ポールは11本継ぎですが、Fibraplexでは自由に継ぎ数を指定できます。今回メインポールは収納時の長さを変えないようにしたかったので、同じ11本継ぎにしました。

同じ本数なのに収納直径の違いが歴然としています。当然重さも笑っちゃうほど軽い。重量もポールだけなら半分以下です。実際はショックコードや石突きがあるので完全に半減というわけには行きませんが、下表のように大幅な軽量化が実現できました。
Stardome II メインポール
(2本)
サブポール
(1本)
前室用
(1本)
総重量
DACポール 238g x 2 178g 146g 800g
Carbonポール 120g x 2 94g 75g 409g
重量の差 118g x 2 84g 71g 391g
(この重量は継ぎ数によって変わってきます)

7075アルミ素材のポールと同じ強度なら、カーボン素材だと直径で2割くらい細くなります。
実測値 外径
Easton 7075 8.6mm
DAC 9.3mm
Carbon 7.4mm

“張力”の強さを比較するために脚立から突き出してみたところ、カーボンポールの方が「ヘナッ」と曲がらないことが証明されました(写真のアルミポールは曲がり癖の無い物を使っています)。ポールの張りの強さはテントをピンと張るための重要な要素だと思います。


使ってみると
ほんの僅かですが、左の方が上部が細くなっているのがわかるかな。
↑ 左DAC、右カーボン。
手で揺すったくらいでは、剛性の違いを感じることはできませんでした。強度的には問題無いのではないかと思われます。素材自身の剛性がカーボンの方が高いので、無理に曲げてストレスを与えると、バキッと一発で折れて(割れて)しまいます。アルミは柔らかいので変形して(曲がり癖が付いて)逃げてくれるのですが、カーボンで無理は禁物です。設営時には今まで以上に無理に押し込まない注意が必要だと思います。また、誤って踏みつけることも無いようにしなければなりません。
↑ 左DAC、右カーボン。
左のDACアルミポールの方が、少しRがきついのがわかるでしょうか? この箇所はStardome-IIで最も曲がりがきつい所です。アルミポールには曲がり癖が付いてしまい、それがシルエットに悪影響を与えている一例です。新品のアルミポールでも一度設営すると多少なりとも曲がり癖が付いてしまうのですが、カーボンポールでは皆無です。
↑ 左DAC、右カーボン。
テント中央のサブポールが、左のDACだと波打っているのがわかるでしょうか? これもポールの曲がり癖に起因しています。全体的な印象として、カーボンポールの方が皺が少なくピンと張れている気がしました。

カーボンのメリット

カーボンのデメリット

発注の注意点
グロメットにポール先端を差し込むタイプのポールは、先端の石突き(Tip)を含めない長さを測ります。Fibraplex社のWebサイトにMS-Excelのワークシートがあるので、そこにインチ換算した長さを入れると何パターンかの継ぎ数の計算結果が得られます。仕舞い寸法と重さを考えながら希望の継ぎ数のセットを選んで指定します。
先端の石突き(Tip)は、写真上のストレート・タイプと写真下のロック・タイプが選択できます。mossのようなグロメット・タイプのテントの場合、下のロック・タイプを指定します。

この Tip はポールに固定されておらず、引っ張って簡単に抜くことができます。ショックコードの交換も容易です。

その反面、撤収時にスリーブの皺に Tip が引っかかって抜けてしまうこともありました。挿抜時は「そっと」が鉄則です。
継ぎ数は奇数の方が良いとのこと。ポールの真ん中は最も曲がりのストレスが加わる場所なので、そこに継ぎ目が来ない方がポール寿命が延びるそうです。

当然ですが、畳んだときの長さは継ぎ数に反比例します。ただし継ぎ数を増やすと重量も少しですが重くなります。

吊り下げ型のテントには適用できません。